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アキレス腱とは?

1.アキレス腱とは

アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉(ひ腹筋)とかかとの骨を接続する、人体の中でもっとも大きな腱である。 アキレス腱自体は、弾力性がほとんどなく、伸縮が極めて小さいという特徴がある。 したがって、ふくらはぎの筋肉を収縮させると、アキレス腱が引っ張られ、それに伴ってつま先立ちの形になる。 通常であれば、その時およそ450Kgの力にも耐えられるといわれている。

2.アキレス腱の語源

アキレス腱のアキレス(Achilles)は、ギリシャ神話に出てくる英雄の名前からきているといわれている。 古代ギリシャでは、生まれたての赤ん坊を川で洗礼する習慣があった。 アキレスの母は、彼を川で洗礼する時、彼の足首を持ち逆さ吊りで川につけたとされている。 そのため、川に触れた部分は洗礼の恩恵を受けた。 しかし、母親が持っていた足首の部分は洗礼の神通力が及ばず、強靭にならなかった。 アキレスは戦場において、その洗礼の恩恵にあずからなかった足首に矢を射られて倒れたといわれている。 アキレス腱は、一般的にはあるものの弱点にたとえられる。

3.どういう時に傷害が起こるか?

アキレス腱関連の傷害では、ふくらはぎの筋肉が弱くなった場合にふくらはぎの肉離れが、 アキレス腱が弱くなっている場合はアキレス腱断裂が、起こる可能性がある。 10から20歳代の若者が、走ったり、ジャンプしたりするだけで簡単にアキレス腱が切れたりはしない。 ただし、スキーなどの滑走中に急激な力が足首にかかるなど、偶発的に人工的な大きな力が働けば、 アキレス腱断裂の可能性もありうる。

中高年者の場合は、子供の運動会や会社の野球部の試合などで、アキレス腱を断裂したという話はよく耳にする。 アキレス腱の水分の含有量は加齢ともに減少するので、アキレス腱を構成するコラーゲンの強度も弱くなる。 通常、30歳以上になるとアキレス腱の許容強度は低下していくといわれている。 また、中年太りといわれる体重の増加も、アキレス腱の断裂を引き起こす要因の一つである。 したがって、30歳以上で中年太り気味、しかも普段から運動不足とくれば、 あなたも立派なアキレス腱断裂予備軍といえる。 「オレもまだまだ若いぞ!」は、非常に危険であることがわかる。

4.緊急/応急対応(アキレス腱を切ったとき、どうしたらよいか?)

1)まず、安静に!

出血はしていないものの、実際に腱が切れているので、大怪我である。立ったり歩いたり、 シャワーを浴びたり、そんなことはしないほうがいい。 出血は見えないが、体の中では、アキレス腱の周りの毛細血管が切れ、皮下出血をしている。 これに、なんとかこの緊急事態を立て直そうと、体中の血液が集合して来る。 そのため、傷口近くは腫れ上がり、熱を持ってくる。 外からは見えないが、中では出血を止めたり、細菌の進入を食い止めたりで、てんてこ舞いなのだ。
そういう状態なので、カンネンして安静にしておくのがよい。

2)救急車を呼ぶ

アキレス腱が両足とも切れた場合でなければ、多少立ったり歩いたりできる。 そうだからといって、自分で歩いて病院に行ったり、そのまま家に帰ったりしないほうがいい。 早めに病院に行って、適切な治療を受けることをお勧めする。 この場合、自分で病院に行くよりも、救急車を呼んだほうがいい。 消防士はこの場合の応急手当の方法も知っているし、近くの救急病院の情報も豊富に持っている。 怪我を押して自分で探すのは、非常に大変だ。

5.参考文献

○「40代からのからだの手入れ」堀居 昭 著(スキージャーナル)
○「スポーツ・テーピング」長尾 淳彦 著(池田書店)
○「テーピングの実際」栗山 節郎 他(南江堂)
○「ストレッチング」猪崎 恒博 著(西東社)
○「スポーツ選手のためのウォームアップ・プログラム」魚住 広信 著