03 Accident

救急病院にて

病院のベッドに移って、ドクターが来るまでに少し時間があった。 看護婦さんは三人ほどいたので、すぐにでも処置をしてくれるのかな、と思っていた。 しかし、毛布をかけてくれるだけで、取りたてて何をしてくれるわけでもなかった。 しかたないので、看護婦さんと世間話をして時間をつぶした。 看護婦さんの話では、十分にウォーミング・アップをしていても、ストレッチをしていても、 アキレス腱を切ることはあるといっていた。

間もなくすると、ドクターがやってきた。 触診と問診をしてくれた。 手術をする方法としない方法とがあって、でちらにするか、と聞かれた。 ドクターは、どちらでも治るまでの時間は同じなので、 手術をしないで治したほうがいいのでは、と言った。 私も、自分の体にメスを入れるのは大嫌いなので、 ドクターの進めるままにそのまま治すことにした。。 私の場合、ギブス固定が6週間(約一ヶ月半)とリハビリが同じく6週間(約一ヶ月半)、 合計で12週間(約三ヶ月)の期間が必要である、との診断だった。

ドクターは、手際よくギブス用の包帯を私の左足に巻き、固まるまで両手で形を整えていた。 今のギブスは、石膏ではない。 グラスファイバーのような包帯に瞬間接着剤のような溶媒が付いている。 それを水に浸けてすばやく巻くだけで、ギブスになってしまう。

私は、中学生のころ(約30年くらい前)、左足を骨折したことがある。 そのころのギブスは、石膏の付いた包帯だったような記憶がある。 一ヶ月もすると石膏が磨れてきて、服や部屋が白くなったのを覚えている。

5分もしないうちに、ギブスは固まってきた。 ドクターからアルミ製の松葉杖を渡された。 「今日はこのまま帰ってください。」 「次回は、14日に来てください。それでは。」 といって、ドクターは他の患者さんのところへ行ってしまった。 かみさんに、お泊りセットを持ってきてと電話しておいたのに。 しかたないので、治療室のすぐ外の待ち合い室でかみさんを待っていた。 案の定、かみさんが大荷物を持って、タクシーから降りてくるのが見えた。
「病室は、どこなの?」とかみさん。
「自宅、だとさ。」と私。

写真は、神宮テニスクラブの隣にあるレストランセランである。 この事件とは、まったく関係ないが、きれいに撮れたので採用してみた。 ほんとはここに、日赤病院の写真を入れたいと思っている。 そのうちに。
2003年3月13日撮影。