No.20 Conference

第20回 JTAコーチャーズカンファレンス(2010)

感想

1.会長挨拶

会長は長年企業のマネージメントの世界にいたので、ことマネージメントの話題では、なるほどという話が多い。

1)組織の中の常識

組織の中の常識は、あるとき大きな力を発揮することがある。 ソニーという会社は、創業当時は30人前後の小さな町工場であった。
しかし、現在では電機メーカーを代表するような大企業に成長している。 その理由の一つに、考えや処理の速さに関する「社内常識」が影響していたのではないかと思う。 いろいろな企画は、社長が直接決済し、決まるとすぐに実現に向けて行動する。これが当時の「常識」であったそうだ。
部下や同僚のやる気をどうしたら高めることができるのだろうかと悩んでいる人は多いと思う。 そんなとき役立つのがこの考え方ではないだろうか。 社内やチームの雰囲気を変え、常に前向きでポジティブな環境を作ることで、思いもよらぬ良い結果が出ることがある。

2)「ベストを尽くせ」では勝てない

相手に勝つためには、常に「相手よりベターである」必要がある。 必ずしも「ベストを尽くす」ことで相手に勝つことができるとは限らない。 浅田真央選手は、バンクーバーオリンピックで彼女のベストの演技をしたのかもしれない。
しかし、結果として浅田選手よりベターな演技をしたキムヨナ選手が金メダルを獲得した。
この話を聞いて、自分も自分勝手で自己満足的な勝負をたくさんしてきたなと反省させられた。 勝負とは相手がある話で、その相手よりちょっとだけ勝ればいいことである。テニスでいえば、1本だけ多く相手のコートのボールを返すだけのことである。なんと簡単なことができていないのか、あきれるばかりだ。

3)ジャパンオープン

ジャパンオープンは最近ずっと有明テニスの森で行われている。 数年前は、観客が2万人ちょっとということもあった。 この大会を何とか盛り上げたいと、いろいろ努力をし、昨年は6万人ほど見に来てもらったそうだ。 最近努力しているのは、ただ単に有名な選手の試合を見に来てもらうだけでなく、ここへ来ればテニスに関する様々なことに触れ合うことができる、という試みをしているらしい。そうすることで、人がたくさん集まり、スポンサーも資金を提供しやすくなるのである。

資金難で困っているところは、たくさんあると思う。どうやって資金を調達するか。 そのヒントがこの話のなかにあるような気がした。

2.Play&Stayプログラム

Play&Stayプログラムは、国際手肉協会が考案し普及を進めているシステムである。 遅いボールと狭いコートを使って、より楽しいテニスを経験してほしいという取り組みである。
具体的には、赤、オレンジ、緑といった3種類(3段階)のボールとコートを規定しいる。 従来の黄色いボールと広いコートよりも断然ラリーが続くので、ある程度練習すると試合ができるようになる。
テニスの楽しみは、試合であって、練習ではない。試合をすることで、自分の弱点を知り、練習するのである。
わたしは職業コーチではないが、週末初心者にテニスを教える機会は多い。 そのときいつも、どうしたら試合の面白さを伝えられるのだろうかと悩んでいた。 サーブを無制限にしたら、レシーブも複数回OKにしたり、カウントを優遇したり。 さまざまなことをしてみたが、やはりうまい人になかなわない。
しかし、この遅いボールは使えるかもしれない。今度試してみよう。

3.スポーツビジネス・マジック

あまり中身のある話であるとは、思わなかった。

4.ウインブルドン放送がもっと楽しめる!

放送の裏側、たとえばディレクターやプロデューサの仕事の内容がよくわかって、 大変興味深い話であった。 NHKでシングルスの放送が多いなと思っていたが、放送権の関係で、ダブルスの権利をNHKは持っていないことが分かった。ダブルスも見てみたいのに。有料チャンネルで見るしかない。残念。

5.選手が求める指導者像

コーチが選手を指導するのではなく、選手に考えさせる指導をする指導者、というのが答えのようであった。でも、それってかなり前から言われていることではないかな、と思った。

6.ダブルスの基本戦略

1)センターセオリー(サーブ)
センターを攻撃することで、自分たちの守備範囲が狭くる。

2)ストレートアタック(レシーブ)
相手のセンターをあけることができ、攻撃する的が大きくなる。