1-2-2 Healthy living

2.健康な

適度な食事

私たちの体は、お母さんの母乳から卒業して以来、食事をすることで動くためのエネルギーや血や肉を再生するための栄養を補充しています。人間の体は、細胞を定期的に再作成したり、損傷を負った組織を再生したり、日々活動しています。そのため、その原料となる食事はたいへん重要な意味を持っています。子供のころ、親から「ちゃんと食事をしなさい」と、口酸っぱく言われた経験は誰もがお持ちだと思います。健康に生きるためには、食事は重要なのです。

しかし、その食事の材料となる食品の危機が叫ばれています。防腐剤などの食品添加物を使った食材。産地を偽装された牛や豚。農薬漬けの野菜。人工的なペレットで養殖された魚。すべて安いものを高く売りたいという人間のエゴや欲が引き起こしたこのかもしれません。太古の昔から人間が摂取してきた自然の食品を、私たちは食べることができなくなってきています。

その一方で、たくさんの苦難を乗り越えて、自然に近い食品を生産し提供しようとしている試みもあります。雑誌やテレビで話題になったものであれば、青森県の奇跡のリンゴ農家、木村 秋則の話が有名です。害虫にてきめんに弱いとされるリンゴを、農薬を使わず、肥料もあげず、完全なる自然栽培でのリンゴ栽培の例です。出荷できるようになるまで、10年以上もかかり、それまでの苦労話は涙なしでは読むことができませんでした。

私の出身県である宮崎県には、綾町という町があります。私が子供のころは、宮崎県で一番か二番かというくらいの貧しい町だったそうです。もう町長を引退されていますが、歴代の町長の中に、郷田さんという方がいます。郷田さんは、この貧しい綾町を改革し豊かな町にしたいと努力した方です。その改革のひとつに、有機農法がありました。街で飼っている牛や馬などの糞を集める場所を町役場に設け、それを肥料にし農家に配布するという仕組みを作り、有機農法を推奨したそうです。今では、有機農法といえば、宮崎県の綾町というくらい有名になっています。

ただし、このような取り組みは日本全体ではわずかで、たとえば農業でいえば農薬を使った農法を維持しているのが現状です。ですので、残念ながら今のところは、自分の健康のためには、自分で食物や食事を工夫し、自らで自らを守っていくことが大切になってきます。

医食同源

医食同源という言葉をよく耳にします。食事を大切にすることが、病気を予防する最善の策であるという考え方です。日ごろの食生活が、医療に通じるということだと思います。「医食同源」と言う言葉は、四千年の歴史を持つ中国に伝わるもので、古くは「薬食同源」とも言われ不老長寿の道を深く突き詰めたところに生まれた言葉だそうです。
その意味は「医(薬)も食(食物)も源は同じ」、すなわち薬は健康を保つ上で毎日の食べ物と同じく大切であり、美味しく食べることは薬を飲むのと同様に心身を健やかにしてくれると言う思想です。この考え方は中国文明の基本の所に結びついているのでしょうか、その強い影響は韓国や日本にも伝わり今日も残っています。薬と食物が同じものから出ているのなら、個々の食物にもそれぞれの効能があり、その効能を理解し毎日の食事を大切にすることが重要だと思います。

栄養の偏り

現代病の原因の一つが、栄養過多と栄養失調に代表される栄養の偏りだと思っています。昔に比べると、現代はいろいろな食料を摂取できる飽食の時代といわれています。栄養過多というのはわかるが、栄養失調とは解せないと思う人もいると思います。5大栄養素という言葉は、たぶん小学校で聞いたことがあると思います。タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルがそれです。私の見解では、タンパク質、炭水化物、脂質は、摂取過多で、ビタミン、ミネラルは摂取不足という傾向があると思います。

多すぎても、足りなくても、体にはよくありません。タンパク質、炭水化物、脂質の摂り過ぎは、みなさんもお分かりでしょうが、肥満に影響します。これは一番興味のあるところなので、皆さんも気をつけてダイエットに励んでいるとおみます。問題は、ビタミン、ミネラルは摂取不足です。とくに、ダイエットといって、1日の食事の摂取量を減らしている人は、極端にビタミンとミネラルの不足状態に陥っているのではと思っています。

ビタミンとミネラルが不足すると、いろいろな不具合を発症します。私は、現代病といわれるほとんどの病気の原因が、このビタミンとミネラルの不足ではないかと思っているくらいです。

足りない分はサプリメントで補給

私の考えでは、今の食物では、必要なカロリーは摂取できるが、必要な栄養素は足りていないのではと思っています。特にビタミンやミネラル類、いま注目されつつある微量元素もそうです。定期的な食事のほかに、サプリメントでビタミンやミネラルの補給をお勧めします。

適度な運動

体の健康には、適度な運動が大切であるといわれています。少なくとも1日には1回くらい心臓がとくとくといって、ほんのりと汗をかくくらいの運動をしたほうがいいそうです。そうすることで、体の新陳代謝も促進されますし、体や血液中に溜まった老廃物を体外に放出するきっかけになると思います。会社員であれば、朝夕の通勤退社時など時間を見つけて歩いてみてはどうでしょうか。ひと駅くらい歩くのがちょうどいい運動かもしれません。

とかく現代人は動かなくなったといわれています。私は都会に住んでいて、通勤に地下鉄を利用しています。それで、自宅から駅までと駅から会社までは必ず歩きます。使わないものは、筋肉も脳も衰えていくといわれています。余談ですが筋肉を使わないとどんどんとひ弱な体になり、頭(脳)を使わないと認知症になる可能性が少し高くなるかもしれません。基礎体温の低い方がいると思います。私もかつて、そうでした。基礎体温の維持も、筋肉の力に影響されます。適度な筋肉がないと、体温を高く保つことが難しくなります。さらに、筋力が弱まると基礎代謝も弱まりますので、同じものを同じ量食べても、基礎代謝の弱い方がより太ります。つまり、適度な運動し筋肉をつけておいた方が、体形を気にしている方とってはいいということです。

適度な睡眠

最近、夜眠れないと悩む人も多いと聞きます。睡眠は、体の健康にとって、とても大切です。睡眠中、体はただ休んでいるのではなく、体細胞や体組織の修復を一生懸命行っています。脳では、日中に起こったいやなことなどを一生懸命整理していると聞きました。まさに、重要な時間なのです。睡眠は、体の疲れと脳の疲れのバランスが重要だと聞いたことがあります。日中頭や気ばかり使って、ほとんど運動しない人は、頭がさえすぎて夜に眠れないことがあります。日中ほとんど頭や気を使わない人はあまりいないと思いますので、たぶん適度な運動し疲れると寝られると思います。

もし、それでも寝られない場合は、メラトニンというサプリメントを使うとよく眠れます。メラトニンは、脳で作られるホルモンの一種ですが、年齢とともに生成される量が減ってくるそうです。そういえば、赤ちゃんや若い人は、よく寝ますよね。それと、老人は朝早く起きるという話もよく聞きます。これも、メラトニンというホルモンの分泌量の違いから来ているのでしょうか。メラトニンは、一般の睡眠薬と違って、本来脳で分泌されるホルモンの一種ですので、副作用が少ないと思います。もし夜寝られないようであれば、メラトニンを使ってみるのもひとつの手かもしれません。

睡眠薬は、百害あって一利なしだと思います。睡眠薬の副作用が、問題だからです。体的には動きや不整脈、食欲不振、下痢、吐き気、便秘、無気力、皮膚の発疹、頭痛、全身の倦怠感、めまい、ぼんやりする、体重減少などの副採用があるようです。たちの悪いのが、不安や幻覚、妄想といった症状もあることです。睡眠薬を飲むことで、心の病になっているようです。睡眠薬は、絶対に利用しないようにしたいものです。