2 Why aging?

わたしたち人間は、どうして老いていくのだろう?
最近、この疑問が妙に身近のものとなってきた。 この疑問に、真正面から答えてくれる本を見つけたので、ここで紹介をしたいと思う。 これまでわたしの中でもやもやしていたものが、すっと晴れた感じのした本のひとつである。
以下は、本からの抜粋である。

ヒトはどうして老いるのか」-老化・寿命の科学- 田辺靖一著

1.健康寿

健康寿命=平均寿命-平均療養期間

健康で自立して活動的な生活が出来る期間の平均値

2.殖期
人の一生を老化の観点でみると、「成長期」「生殖器」「後生殖期」に分けることが出来る。  動物にとって、後生殖期はいわば、”おまけ”のような期間になります。  老化は正しくは、生殖期以降(後生殖期における)いろいろな臓器の機能の衰退現象を 指します。つまり、個体の老化の原因を、ある決まった臓器や器官に求めることは出来ない きないのです。ヒトの場合はとくに、長期間にわたって進行するので、個人差が顕著に出てくるということになります。また、「何歳以降を後生殖期とする」という明確な定義も、 個人差が大きいために一律には決められないものなのです。  逆にいえば、老化のスピードは、個人の努力や注意によってうまくコントロールできることを示しているのです。

3.老化学説

(1)プログラム説
老化はある特定の”老化遺伝子”によりプログラムされている。
しかし、大部分の老化現象は個人差も大きく、遺伝子的にプログラムされていないとみる 方が自然です。

(2)エラー蓄積説
老化は細胞の中のDNAやタンパク質に異常が蓄積することになる プログラム説とエラー蓄積説は、両者は老化現象のある側面から主張した説であり、 互いにリンクしているのです。

(3)体細胞廃棄説
老化は体細胞の修復と生殖に費やすエネルギーの分配比によってきまる 最も有力視されている説です。

4.不老長寿の秘訣

不老長寿の秘訣を一言でいうならば、 毎日の食事に配慮し、 適度な運動をするなどよい生活習慣を身につけることと、 不足しがちなビタミン類をサプリメントなどを含めて補充することです。
つまり、予防医学を日ごろから実践するようにすることが望ましいことなのです。 これ以上にも当然のことながら、さまざまなストレスをうまく解消して、精神的な安定と 充実を図るようにしたり、生活環境を改善するように普段から心がけることが 大切なことです。

まず、健康寿と平均寿について

田辺先生は、本当の寿命と健康寿命とがあり、その差が療養の必要な期間となる、と書かれている。 健康を維持し、この療養期間を出来るだけ短くすることで、健康的な老後を過ごすことが出来るということを示唆していると思われる。
この考え方は、わたしにとって非常に衝撃的であった。 この考え方を使って、わたしの思っていたことを説明すると、非常にわかりやすいからである。
わたしは常々、死ぬまで働きたいといっている。 これは、死ぬ直前まで健康でいたいという気持ちが含まれている。 上記の説明を借りると、実際の寿命と同じ長さの健康寿命を持ちたい、 もっと言うと、実際の寿命よりも長い健康寿命を維持したい、という考えを持っている。 体も心もまだまだ健康なのであるが、自然が決めた個体としての寿命は尽きてしまう。 そのような生き方をしたいと思っている。
そのためには、今何をしなくてはいけないのか。それが今のわたしのテーマなのである。

老後のことをこの本では、後生殖期と呼んでいる。 たぶん個人差が大きくて、たとえば何歳以上が老後です、という説明が出来ないからであろう。 田沼先生は、この後生殖期は、「老化のスピードは、個人の努力や注意によってうまくコントロールできる」とおっしゃっている。 この言葉は、なんと心強い言葉であろうか。 そして、わたしの考えに一番一致する考え方でもある。
その下の「老化学説」でも説明されているが、何がしかのある規律でヒトは老化していくのは避けられない事実である。 しかし、その老化していくスピードは個人ごとに差があり、個人の努力や注意によって制御することが出来るはずである。

わたしの仮説

ヒトには元来、健康寿命と実際の寿命というものが存在する。 実際の寿命は、生まれたとき、またはそれ以前にに決まっているもので、生後に制御することは難しい。
しかし、健康寿命は個人の努力や注意によって制御することが出来、健康寿命と実際の寿命を一致させることは出来る。