1 What’s aging?

老化とは」 今堀和友著

1.殖期

生物の寿命は大きく分けて三つの時期から成立していると考えられています。 第一は生まれてから性成熟に至るまでの期間で、これを成長期と呼ぶことにしましょう。 第二は子孫を盛んに作り、これを育て上げるまでの期間で、これを生殖期ということにしましょう。 第三番目は生殖を終わった後の余生ともいうべき時期で、これを後生殖期ということにします。
省略
それはまさにヒトにはこう生殖期が備わっているかななのです。 老化はまさしく、この後生殖期の問題なのです。 そして最近における後生殖期の飛躍的延長が、高齢化社会の問題なのです。
省略
人による個体差が大きくて、とても「何歳以降を後生殖期とする」といった明確な定義が出来ないのです。

2.個人の老化は年齢できまるか

このように、個体によるバラツキが非常に大きいのですが、それでもやはり年齢は老化のパラメーターとして最も普遍的なものです。
省略
私はしたがって、老化を「加齢に伴う生理的機能の低下」と定義することにしています。
省略
この定義の「加齢に伴う」の「伴う」に慎重な意味を盛り込んだつもりです。 加齢に比例するものではありません。 ですから年齢によって機能低下の程度を正しく判断することはできないのです。 それでも決して年齢と無関係ではないのです。 これを「伴う」と表現しました。 老化と年齢との関係はこの程度のことであると了解していただければよいと思います。

3.細胞死と老化

細胞死には、プログラム死、自然死、細胞の壊死がある。
システムの機能低下を防ぐには、各パーツの機能低下を防止するのが一番確実な方法です。 パーツを細胞と考えるなら、細胞死を防ぐことです。 細胞死がたとえプログラムされたものであったとしても、その引き金となる要素があることを述べてきました。 ですから、引き金を引かせないようにしてやることは、細胞死を防ぎ、老化を予防することに通じるでしょう。ましてやエントロピー的な死に対しては、これを防ぐ方法はいくつかあると思います。 まずは負のエントロピーをできるだけ与えてやればよいのですから、栄養というものは極めて重要な老化防止剤となりうるはずです。
あるいはエントロピー死を促進する因子があるとしたら、これを除くことにより老化防止ができるでしょう。

4.不老長寿の秘訣

疫学的にいうと、老化防止に対して明確に効果があるのは、「栄養」と「運動」だけということになります。

省略
老化防止に栄養が必要といいましたが、その内容について東京都老人総合研究所では次のように勧めています。

(1)タンパク質を1日最低100グラム摂ること必要であるが、その際、肉、魚といった動物性のタンパク質と、豆腐や豆類といった植物性のタンパク質をほぼ半々に摂ることが良い。

(2)骨粗しょう症予防のためにも、牛乳を男なら200CC、女なら400CCを毎日飲む。

(3)青野菜、色野菜をとりまぜ、野菜類を毎日必ず撮る。
(4)主食として、ご飯なら1杯までとし、代わりに、前にも述べた物を含む副食を5皿くらい撮る。
(5)食塩の多い汁類はできるだけ控える。

(6)卵も1日1個食べるのが良い。

このような食事は大変手間がかかるだけでなく、費用もかかります。 もしも年金で、これだけの食費をまかなえないなら、若いときからそれに備えて貯蓄しておかなければならないでしょう。 ここでもまた、老化防止は若いときから心得なければならないという結論になりそうです。