1-2 Definition

2.健康とは

WHOの定

「健康」、「長寿」、これは人間誰しもが求める最も大切なことだと思っています。健康で長生きしたいという人間の欲望や願望は、時代や国境を越えて多くの人達に共通した課題ではなかったのかなと思っています。ところで、「健康」とはどういう状態なのでしょうか。

1948(昭和23)年、WHO(World Health Organization:世界保健機構、現:世界保健機関)が全世界の健康に関する有識者を集め、保健憲章をつくりました。その前文に、下記のような健康の定義があります。

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

「健康とは、完全に、身体、精神、及び社会的によい(安寧な)状態であることを意味し、単に病気でないとか、虚弱でないということではない。」

健康とは病気や虚弱でないというだけではなく、身体の体力値が高く、知的には適切な教育を受け、社会的(家族、地域社会、職場)には豊かな人間関係があり、精神的にも安定している状態である(精神的健康・社会的健康・身体的健康のバランスが取れた状態)というものだといっています。

日本における「健康」の基準

わたしたち人間の身体はたとえ病気になってもそれを治そうとする力が自然にはたらきます。これを「自然治癒力」と呼びます。本来の「病気」の概念とは、この「自然治癒力」が何らかの原因で著しく低下し、身体に機能障害が起こった状態を指します。

ところが現代社会に於ける「病気」の概念というものは、あくまでも医学という学術的な見地により作り出された基準によるもので、その基準に満たないものは「病気ではない」という判断をされています。たとえば、わが国における「健康保険」がまさにその発想で、何かしらの傷病に分類することができて(完全に病気と判断できて)、はじめてその医療点数が決まり、その医療点数によりあなたの診察料なるものが算出されています。したがって、この基準によって「病気ではない」と分類された多くの方は、「健康」という認識をもっているようです。しかし、それは本当に「健康」といえるのでしょうか。

どことなく身体が重たいのだけれど、医者に行くと「風邪ではない」「しばらく様子を見ましょう」という診断をされた経験はないでしょうか。その結果、数日後に風邪を引いてしまった、一度や二度はこうした経験をしたことがあると思います。

専門家の間ではこのような状態を「未病」とか「半健康人」、「半病人」などと称しており、病気ではないけど、疲れが取れない、寝起きが悪い、頭痛がおさまらない、あるいは便秘気味等、決して健康とはいえない状態を指しています。そして残念なことに、もはや大多数の現代人が、この健康でも病気でもない状態にあるといわれています。

日本での「病気」とは、あくまで人間(医者)が作為的に設けた基準であることがわかります。

気には、原因が

「病気には、必ず原因がある。」これは、健康相談士をしていた父からよくきいた言葉です。人間は生まれながらに外的から身を守りながら健康に生きていくようにプログラミングされていると父は考えていました。それで、病気とは、何らかの原因がなければかからない、というのが持論でした。父は、健康相談を受けると少なくとも2時間くらいは面談の時間にかけていました。その時間を使って、その人のこれまでの人生や生活パターン、それに最近の食事や睡眠、薬の使い方などを聞き、その中から相談を受けた病気の原因を一生懸命見つけ出す努力をしていました。

根本的な原因さえ見つけ出せば、そこを直せばいいのです。原因が食事にありそうであれば、食事のレシピや習慣を改善してもらう。原因が睡眠であれば、睡眠の習慣を変えてもらったり、熟睡できるようなアドバイスをしたりしていました。父の話の中で、病気の原因の一番多かったのが、薬の副作用の話でした。あくまでも、私が聴いた話の中でのことですが。残念なことなのですが、現在の医療は対症療法的な治療が横行しているように感じます。発熱すれば、解熱剤を、頭が痛ければ、鎮痛剤を、という具合です。発熱した原因とか頭痛の原因とかを突き詰めることなく、現状の症状の緩和で終わっているように見ます。その結果、原因が治療されていないのと、投与された薬の思いもよらない副作用があいまって、別の厄介な病気へと発展する場合が多く見られたといっていました。

病気になったときは、なんらか原因があるはずです。たとえば、風邪を引いたとき、直接の原因は風邪菌が体の中に進入し増殖してしまったのが原因だと思います。でも、人間にはもともと免疫力という戦う力があります。どうして、その力をすり抜けて風邪菌が体の中に入ったのでしょうか。日々の仕事疲れで、免疫力が低下して自然治癒力が正常に機能しなかったのでしょうか。風邪になるまでの自分の生活やパターンを思い起こし、とうかけることで、風邪になった本当の原因がわかってきます。その免疫力が落ちた原因を改善することが大切だと思っています。